2026年7月17日
皆さん、こんにちは。院長の小池弘太です。今回もとりあえず当院のロゴマークでもあるペンギンにまつわるお話からさせていただきます。ペンギンは様々な特徴がありますが、その中でまた一つ人間にはない特徴についてお話させていただきます。
それは、「海水を飲んでも平気」ということです。
ペンギンは当たり前ですが、魚ではなく、鳥の仲間です。しかし、海で魚を捕まえるとき、海水も一緒に飲み込んでしまいます。それでも体に塩分がたまりすぎないのは、「塩類腺(えんるいせん)」という特別な器官があるからです。目の上あたりにあるこの器官が、余分な塩分を体の外へ出してくれるため、ペンギンは海の中でも元気に暮らすことができます。まさに、ペンギン専用の“塩分調整装置”なのです。
一方、人間にはこの塩類腺がありません。
私たちの体で塩分や水分のバランスを調整しているのは、腎臓です。腎臓は、血液をきれいにしながら、必要な水分や塩分は体に残し、いらないものを尿として外に出してくれています。さらに、血圧の調整や、赤血球をつくる働き、骨の健康にも関わっていて、実はとても大切な臓器です。
ところが、塩分の多い食事、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、加齢などが重なると、この腎臓に少しずつ負担がかかってきます。特に塩分のとりすぎは血圧を上げやすく、腎臓にも負担をかけるため注意が必要です。
・慢性腎臓病(CKD)って?
最近「慢性腎臓病(CKD)」という言葉を聞いたことはありませんか?これは、腎臓の働きが少しずつ悪くなっていく病気です。CKDは、高血圧や血糖コントロールが不良の方などが進行しやすいとされています。また喫煙や肥満、脂質異常症や尿酸値が高い方なども腎臓に悪影響を及ぼします。そのほかにも脱水や痛み止めなどの内服薬でも腎機能が悪くなっていくことがあります。腎臓の機能が低下してきていても自覚症状は乏しく、そのため、「気づいたときには進んでいた」ということも少なくありません。また腎臓は一度痛むと改善していきにくい臓器であり、予防や早めの対策が重要になってきます。
さらにCKDは、腎臓だけの問題ではありません。腎機能が低下すると、心筋梗塞や脳卒中、心不全などのリスクも高くなることが分かっています。つまり、腎臓を守ることは、将来の透析を防ぐだけでなく、心臓や脳を守ることにもつながります。
・CKDはどうすればよいの?
先にも述べた通り、CKDは様々な要因、特に生活習慣病と密接な関係にあります。そのため血圧や脂質・血糖などをきちんとコントロールすることや、喫煙習慣や肥満などの改善を行うことが大切になります。
またCKD自体の治療もここ数年で少しずつ進歩しています。以前は生活習慣病の管理や、塩分などを控えるなど食事に気をつけることが中心でしたが、最近では「SGLT2阻害薬」という糖尿病の薬が、糖尿病のある方だけでなく、一部の慢性腎臓病の方にも腎臓を守る薬として注目されています。もちろん、誰にでも使えるわけではないので、腎臓の状態や血圧、ほかの病気とのバランスを見ながら、医師が判断する必要があります。
大切なのは、早めに気づくことです。
健康診断で「eGFRが少し低い」「クレアチニンが高め」「尿たんぱくを指摘された」と言われたことはありませんか。こうした結果は、腎臓からの大事なサインかもしれません。特に尿たんぱくは、腎臓の異常を早く見つける手がかりになります。「年齢のせいかな」と思ってそのままにせず、一度確認してみることをおすすめします。
ペンギンには塩類腺がありますが、人間にはありません。だからこそ、私たちは毎日の生活の中で腎臓を守っていくことが大切です。塩分を少し控えること、血圧をきちんと管理すること、糖尿病がある方は血糖を整えること、そして定期的に尿検査や血液検査を受けることが、将来の健康につながります。
当院では、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の診療に加え、健康診断で腎機能や尿検査の異常を指摘された方のご相談にも対応しています。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
