【第9回】帯状疱疹って実際なんでおこるの?―ペンギンの「換羽」に学ぶ、免疫の変化 ―|望月内科消化器内科クリニック|静岡市葵区の胃カメラ・大腸カメラ

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【第9回】帯状疱疹って実際なんでおこるの?―ペンギンの「換羽」に学ぶ、免疫の変化 ―

【第9回】帯状疱疹って実際なんでおこるの?―ペンギンの「換羽」に学ぶ、免疫の変化 ―|望月内科消化器内科クリニック|静岡市葵区の胃カメラ・大腸カメラ

2026年8月30日

皆さん、こんにちは。望月内科消化器内科クリニック院長の小池弘太です。今回は帯状疱疹についてお話させていただきます。もちろん今回もペンギンのお話は絡めていきます。

皆さんは、ペンギンの「換羽(かんう)」をご存じでしょうか?
ペンギンは、ある時期になると古い羽毛が一気に抜け、新しい羽毛へと生え変わります。
この時期のペンギンは、普段のように海へ泳ぎに行くことができません。
なぜなら、新しい羽毛が十分に整うまでは、水に入ると体温を奪われてしまうからです。
そのため、換羽期の2~3週間は陸上で過ごさなければなりません。水に入って魚などを捕りに行けないため、換羽が始まる前にたくさんエサを食べて体に脂肪を蓄え、絶食状態に備えます。。
実はこの「普段とは違う状態に備えて、体を守る」という考え方は、私たちの免疫と帯状疱疹を考えるうえでも、とても重要になります。

〈 帯状疱疹の正体は昔の水ぼうそう
帯状疱疹を、「どこかから新しいウイルスをもらってくる病気」と思っている方もいるかもしれません。
実は、少し違います。
帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。
これは水ぼうそうの原因となるウイルスです。子どもの頃などに水ぼうそうにかかると、発疹は治ります。
しかし、ウイルスが完全に体から消えてしまうわけではありません。

水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは神経節などに潜伏し続けますが、普段は免疫によってしっかり抑え込まれています。
ところが、加齢などに伴ってウイルスを抑える細胞性免疫の力が低下すると、潜伏していたウイルスが再活性化することがあります。
これが帯状疱疹です。
そして、私たちの場合注意したいのが免疫の加齢変化(免疫老化)です。加齢とともに年齢を重ねるにつれて免疫の働きやバランスが変化し、低下していく現象のことです。特に病原体を正確に攻撃する「獲得免疫(T細胞など)」の力が弱まり、感染症にかかりやすくなったり、ワクチンの効果が下がったりしてしまいます。そうした体の免疫が弱ってくると、抑え込んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化して、帯状疱疹を発症してしまうことがあります。


〈帯状疱疹は「皮膚の病気」だけではありません〉
それでは、まず帯状疱疹ってどんな病気でしょうか。帯状疱疹の特徴は、体の左右どちらか一方に、神経の走行に沿って症状が出ます。
最初は、
ピリピリする
チクチクする
かゆい
などの違和感から始まることがあります。
その後、赤い発疹が現れ、やがて小さな水ぶくれが集まって出てきます。
この「片側に帯状に出る」という特徴から、帯状疱疹という名前がついています。
しかし、重要なのは皮膚だけではありません。
ウイルスは神経に潜伏しているため、神経そのものに炎症や障害を起こすことがあります。

〈帯状疱疹後神経痛〉
帯状疱疹で特に注意したい合併症の一つが、
帯状疱疹後神経痛(PHN)です。
皮膚の発疹が治ったにもかかわらず、
「電気が走るように痛い」 「服が触れるだけでも痛い」
といった神経痛が長期間残ることがあります。
特に60歳以上、皮疹が重症だった場合、初期の痛みが強かった場合などに起こりやすいとされています。

さらに注意が必要なのが、顔面、とくに目の周囲にできる帯状疱疹です。
三叉神経の領域に発症すると、眼の合併症につながることがあります。
また、耳の周囲に発症して顔面神経麻痺や聴覚・平衡感覚の障害などを伴うこともあります。
そのため、
「片側の顔や頭が痛い」
「その後に水ぶくれが出てきた」

という場合には、早めの受診が大切です。
帯状疱疹は、抗ウイルス薬による早期治療が重要な病気です。

〈 「治療」だけでなく「予防」が大切
治癒後も症状が残る可能性があるからこそ、予防が大事になります。

ここで登場するのが、帯状疱疹ワクチンです。
現在、帯状疱疹ワクチンには大きく分けて、
① 生ワクチン
② 不活化ワクチン

があります。
当院では不活化ワクチンを取り扱っております。ワクチンは、帯状疱疹そのものだけでなく、帯状疱疹後神経痛に対しても高い予防効果が報告されています。
厚生労働省の資料では、不活化ワクチンの帯状疱疹に対する予防効果は、接種後1年で9割以上、5年後でも9割程度、10年後でも7割程度とされています。
一方で、接種後に注射部位の痛みや発熱、倦怠感などがみられることがあります。
「ワクチンだから副作用はない」ということではありません。
期待できる効果と、接種後に起こり得る反応の両方を理解して選択することが大切です。


〈 ペンギンは「次の季節」のために備える
ペンギンは、換羽という一見すると大変そうな時期を乗り越えて、新しい羽毛を整えます。
そして、また海へ戻っていきます。
私たち人間も、年齢とともに体の状態は少しずつ変わります。
若い頃と同じだから大丈夫、と考えるのではなく、
「これから先の健康のために、今できることを考える」
ことが予防医学です。
帯状疱疹も、
「なってから治せばいい」
だけではなく、
「なる前に予防する」
という選択肢があります。

🐧 今日のペンギン健康教室
「ペンギンは羽を替える。私たちは、備えを替える。」
水ぼうそうのウイルスは、治ったあとも体の中に潜伏しています。
そして、年齢とともに免疫の働きが変化すると、再び活動して帯状疱疹を起こすことがあります。
「昔、水ぼうそうにかかった人だからこそ、帯状疱疹について知っておく」
ことが大切なのです。
「自分は帯状疱疹ワクチンの対象なのかな?」
「以前帯状疱疹になったけれど、ワクチンは必要?」
そんな疑問があれば、お気軽にご相談ください。

話は変わりますが、もうじきインフルエンザのワクチンも実施していきます。また適宜希望や予約等行っていきますのでよろしくお願いします。


院長 小池弘太

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